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インタビュー 立教大学 文学部教授

石川巧さん

専門は日本近代文学です。かつて新聞は、改行も句読点もない続き書きでした。慣れない読者にとっては読みにくいものだったと思われます。そんな中、読売新聞は改行、句読点、会話のカギカッコなどをいち早く導入しています。また話し言葉に近い言文一致体を採用するなど、読みやすい新聞づくりにつとめています。

圧倒的に華やか

文芸に関しても、明治から戦前にかけて読売新聞は、他の新聞に比べて情報量が多く、圧倒的に華やかです。大衆文化の勃興(ぼっこう)を予測したのでしょう。大衆文学や演芸など当時の庶民が求める情報を積極的に掲載しています。大衆が求める情報を掲載するのが新聞の使命だと考えていたのではないでしょうか。当時の大衆の欲望をよくとらえていて、メディア論を考える上では、格好の材料です。

明治から昭和にかけて、「よみうり抄」という連載では、箇条書きで作家、芸術家、学者、文化人らの短信、消息、ゴシップなどを掲載していました。こういった情報は当時の雑誌にはよくありましたが、新聞にこういった情報が掲載されているのは珍しい。精読すると、当時の文化人たちの交友関係がつまびらかになります。

全国の自治体などでは、街おこしにも使えるのではないでしょうか。その土地を訪れていた意外な文化人などを見つけることができます。例えば、「熱海」という地名を手がかりにして、熱海を訪れた文化人の交遊関係や、作品への影響などを考えるのも面白いと思います。

紙面から見えてくることも多いです。書籍の広告だけが掲載されていて、実際に出版されなかった「幻の本」を見つけることもあります。調べていくと、お金の問題だったり、作家と出版社が対立したり、力のある作家が妨害したりと当時の文壇のいろいろな事情が見えてきます。

時代の奥行きを捉える

1年生などを対象に図書館で行う情報検索の講習会では、ヨミダス歴史館などの新聞データベースが利用できるように指導してほしいと依頼しています。学生は自分の誕生日の新聞を見るだけで感激します。

100年以上にわたって、一つの同じ会社が作りつづけている新聞というメディアにはほかのメディアとは違う信頼感があります。

新聞データベースは人文系や社会科学系の学生には絶対に必要なものです。

表面の情報に惑わされず、奥行きをもって時代を捉えてほしい。そのためには言葉が持つ歴史を学ぶことが大切です。一つ一つが蓄積され、層となって歴史となっていく。その上に現在が乗っている。新聞データベースを使うことで、そういう視点をもってほしいと思います。

一般的にいわれていること、真実めいたものをうのみにして発言するのは危険です。本当にそうなのか、確かめてみようよ、と学生には言いたい。その時に新聞データベースは役にたちます。ぜひ、しっかりと使って欲しいと考えています。

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