新聞紙面の3分の1を占める広告は、時にニュースを圧倒する存在感を放ちます。昭和初期に二つの児童文学全集の出版が競合した際は、それぞれの編集に携わる詩人・北原白秋と小説家・菊池寛が新聞広告で真っ向勝負。まず白秋が「満天下の正義に訴える」と題して「文相の推薦文を偽造」などと非難すると、その3日後、菊池が「待て!しかして(そしての意)見よ」として細かく反論しました。いずれも長文の巨大広告ですが、激情気味に攻める詩人の白秋に、実業家でもあった菊池が冷静に応じています。「広告合戦 北原白秋 菊池寛」でキーワード検索を。(む)