かやぶき屋根を攻め立てるように取り囲むケバケバしいトタン屋根。「まるで“新興住宅地”だ」。急傾斜のかやぶき屋根が印象的な「合掌造り」で名高い飛騨の白川郷(岐阜県白川村)。情け容赦ない変化にさらされる秘境の姿を46年前の記事が伝えています。白川郷の合掌家屋は遺跡ではありません。人々が暮らす“現役”の住居です。屋根ふき替えの高額な費用などを理由に、合掌家屋は減少の一途をたどりました。さらに「若者の都会流出は、むしろ“秘境”なだけに、よそより激しく、残ったのは“屋根の重み”だけ」。記事は「助成金や『守る会』の運動ぐらいでは“秘境の近代化”は避けられない運命にあるようだ」と結ばれています。しかし、この考えは少し悲観的すぎたかもしれません。1995年には世界文化遺産に登録され、日本の原風景と集落の暮らしは今も健在です。それでも保存活動の費用は足りないそうで、楽観はできませんが……。「合掌 悲鳴」で検索を。(む)