虫めがね

特別号「関東大震災号外発見」

 このたび、読売新聞が関東大震災直後に発行した号外紙面が発見され、ヨミダスに登録が完了いたしましたので、虫めがね特別号としてお知らせいたします。

 虫めがね8月号「関東大震災と読売新聞」でもお伝えしましたが、読売新聞社は100年前の1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災により、新築移転したばかりの社屋が炎上、活字や輪転機を失い、9月2日から5日までの発行停止を余儀なくされました。

 「読売新聞百年史」には6日から手刷り印刷機で号外を発行したとの記述がありましたが、紙面そのものは失われており、これまでヨミダスの紙面データベースからも抜け落ちておりました。

 今回見つかったのは9日、11日の発行分で、9日は1ページ、11日は2ページの号外となっています。

 譲り受けた活字を可能な限り活用したためか、記事内に大小の活字が入り交じり、漢字の活字が不足していた部分はひらがなやカタカナ交じりで表記するなど、非常に苦心しながらの発行であったことがうかがえる紙面です。

 9日は災害発生から1週間あまりが経過し、電話の一部復旧や、電車の一部区間開通、銀行の営業再開予定が伝えられ、冬着やふとんを義援金でまかない配給する旨や、玄米の炊き方など、被災者の生活に寄り添った記事が並びます。

 また、<火炎の永代橋から 河中に飛び込み 九死に一生を得た実話>という見出しで、炎に追われて隅田川に飛び込み、船につかまって命が助かった人の記事も掲載されています。

 11日の紙面には写真も掲載され、東京・浅草で米の配給に集まる被災者の様子が写し出されています。神奈川県や千葉県の被害も明らかになりつつあり、海外からの災害支援が続々と寄せられているニュースも報じられています。

 今回入手した号外からは、震災直後の混迷した状況が、より生々しく伝わってきます。また、社屋が被災しながらも、様々な手段を講じてなんとか震災報道を続けた鬼気迫る様子をうかがい知ることができます。

 紙面は「1923年9月9日」「1923年9月11日」の日付指定や、「関東大震災 AND 号外」のキーワードで検索できます。ぜひ、ご覧ください。