読売新聞

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昭和56年(1981年)7月30日付「なぜか中年グルメ族 食のレジャー化? 低成長期の象徴?」

 今回は、「なんとなく、クリスタル」や「窓ぎわのトットちゃん」がベストセラーとなった1981年のお話です。中年記者はまず、およそ食にこだわりの少なかった周囲の仲間が最近グルメ化したと思った例をあげます。例えば――▽肉ならあそこの炭火焼き、天ぷらだとあの店の座敷で、とひいきが出てくる▽焼き鳥屋でも「ここの手羽は塩の具合が絶品」などと講釈する▽女房にチーズケーキを作ってもらったら、まずまずの線だったなどの話題が昼休みに登場する――といった具合。中年族のこの変容について、記者は「カネとヒマの若干のゆとり、仕事で満たされぬモヤモヤが別の何かに振り向けられる」と、その背景を解説します。そして「高度成長期にはそこそこのものを食べてがんばり、低成長になると“うまいもの”に情熱を注ぐ傾向は歴史的にも裏付けられる」と述べ、木村尚三郎東大教授の意見を紹介しています。教授は、刺し身、すし、天ぷらなど日本料理の代表格が江戸時代の低成長期に広まった例を引き、その結論は「明日に発展性がない状況では一日一日が大事になり、頭と胃の文化が発達する」というものでした。なるほど現代人が熟成肉とか新北欧料理とか、次々と新しい美食の追求に熱中するのも当然なのかもしれません。検索は「中年グルメ族」で。(も)

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