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大正5年(1916年)7月30日~8月2日付「[アンリ・マティスを訪うの記]=上中下/正宗得三郎(連載)」

 今年は、アンリ・マティス(1869~1954)の生誕150年に当たります。1世紀以上前、この巨匠の知遇を得た日本人洋画家が、何とも貴重な交友記を読売新聞に寄せています。正宗得三郎(1883~1962)は、渡欧中の1916年、パリの画廊でかねて尊敬していたマティスと偶然出会い、親交を結びます。マティスは気さくな人で、正宗が、僕はあなたの絵を愛する日本人ですと自己紹介すると、メルシー、ムッシュと答え、2人はしばらく語らいました。その後、マティス宅を訪れ作品を前にし、正宗は思います。マティスの絵は、「例えばいかなる怒っている猛獣でも、薙(な)ぎなだめる無限の力を持っている。柔らかにして、強い、沈静にして、自発的の動力を持っている」。マティス自身は、自分の作風について、以前とは違うが「やはり写実家である。しかし、今は頭の写実家だ!」と述べたそうです。そして、アトリエにあった写生画に描かれたガラスの果物台とオレンジの大きさが、実物とはだいぶ違うと指摘した正宗に対し、「絵は写真ではない。大きくても小さくてもかまわない。しかし自分の絵には、実在の力がある」と力説します。巨匠との出会いは、強烈な印象を残したのでしょう。正宗はこの後、まもなく帰国しますが、5年後、再び渡欧し、マティスからさらに多くのものを学ぶことになります。「アンリ・マティス 訪問」でキーワード検索を。(も)

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