読売新聞

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「○○の秋」

 暑からず寒からず、秋は活動しやすい季節です。春も同じく快適ですが、「スポーツの秋」「芸術の秋」と言うのに、「スポーツの春」「芸術の春」とはあまり言いません。「読書の秋」もそうですね。そして何より「食欲の秋」「味覚の秋」「実りの秋」と、グルメの花盛り。生活に密着した季節の話題は新聞にも欠かせません。読売新聞を彩った“秋”をヨミダス歴史館で訪ねてみましょう。
 1932年9月から10月にかけて、[味覚の秋]と題する全37回の連載が掲載され、各界著名人が食にまつわる持論を語っています。第3回では、インド独立運動家で日本へ亡命していたラス・ビハリ・ボースが、「東京のカレー・ライス、うまいのないナ。油が悪くてウドン粉ばかりで、胸ムカムカする」と酷評。ただし、新宿のレストラン「中村屋」のカレーについては、上質なバターと鶏、インドから取り寄せたカレー粉を使った「ホントの味」と太鼓判を押しました。もっとも、中村屋に本場の味を指南したのはボース自身。自画自賛も辞さない自信のほどがうかがわれます。カレーは今も中村屋の看板メニューです。
 1969年9月7日朝刊「先生、おかずが違うよ 給食わびし値上げの秋」は、インフレ時代ならではの騒動です。秋の新学期が始まって間もない東京都板橋区内の小学校。同月4日の給食で献立表の4品から小倉煮が削られ、5日には中華風サラダの予定が塩をふりかけた生キュウリに変更され、食べ盛りの児童から「うそつき」とクレームが出たとか。学校側によると「生鮮食品の値上がりがひどく、献立表通りにすると赤字になってしまう」ための苦肉の策。「しかし、必要カロリーは欠かしていない」と懸命のやり繰りを訴えています。(む)

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