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虫めがね

樋口一葉生誕150年

 megane_illust0330「たけくらべ」や「にごりえ」で知られる明治時代の女性作家・樋口一葉は今年で生誕150年。連載小説「うつせみ」(1895年8月27日~1895年8月31日)を執筆するなど、読売新聞との縁もある一葉の短い生涯を、紙面を通じて振り返ってみたいと思います。

 「樋口一葉」で検索して出てくる最も古い記事は1892(明治25)年3月31日。「最近出版書 『武蔵野』第1編▽『翻訳新声』▽『百万塔』第14号」の記事中に「一葉」の名前が見えます。

 「武蔵野」は、一葉の小説の師である半井桃水が若手作家の作品発表の場として作った雑誌で、第1号には一葉の第1作「闇桜」が掲載されました。「たけくらべ」を連載する3年近く前、文壇デビューの貴重な記事です。

 しかし、わずか4年後の1896(明治29)年8月19日に「一葉女史病に臥す」の記事が出て、その3か月後の11月26日には「一葉女史逝く」の見出しで、「女流小説家の巨擘(きょはく)として名を当代にほしいままにし鬚眉(しゅび)の丈夫と並び立ちて遜色なかりし一葉女史樋口夏子は今年秋の初めつ方より肺を患えて文筆を廃し静かに医療を加え居りしが去23日終に隔世の人となれり」と訃報を伝えています。

 一気に時代が飛んで、生誕130年だった2002(平成14)年8月2日には「紙幣を一新へ 新たな偽造防止策 『5千円』樋口一葉、『千円』野口英世」(東京朝刊)の記事が。同日夕刊「お札一新、ゆかりの地 “一葉来福”に期待」では、「東京・台東区竜泉三の同区立一葉記念館。五千円札の図柄に決まったというニュースを知った来館者の出足も早く、開館前から、職員が報道関係者らの対応に追われた」と報じています。

 一葉の5千円札は、再来年には津田梅子の肖像にかわります。今のうちに、一葉の顔をじっくり眺めてみてはどうでしょう。(は)

 

 

 

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