「人生案内110年」
読売新聞「よみうり婦人付録」(現在のくらし面)で「人生案内」が始まってから、今月で110年。そこで、コーナーの歴史を振り返りつつ、時代を表すような相談をいくつかピックアップしてみたいと思います。
★人生案内の歴史
「人生案内」は最初「身の上相談」というタイトルで1914年(大正3年)5月に始まりました。
その後、1923年(大正12年)の関東大震災でいったん途絶えますが、1931年(昭和6年)7月に「悩める女性へ」と名前を変えて復活。しかし、日中戦争が始まる直前の1937年(昭和12年)6月から再び長い中断に入ります。現在の「人生案内」となって再開したのは1949年(昭和24年)11月。
それ以来、70年以上も続く読売新聞の人気コーナーとなっています。
★第1回の相談
記念すべき第1回は<[婦人付録][身の上相談]妻を離縁して>(1914年5月2日朝刊)。
帝大(現東京大学)を卒業した男性からの相談で、「他人の中傷が原因で妻を離縁したが、後で冷静になって後悔している」といった内容。他人からの中傷で人生の重要な選択を左右される怖さは、昔も今も変わらないようです。
★終戦後の相談
戦争の傷がまだ癒えない1951年(昭和26年)にはこんな相談が。
「太平洋戦争が始まった1941年(昭和16年)に結婚して旧満州(現中国東北部)に渡った後、夫が現地で召集され生死が不明、自分は一人で帰国して帰りを待っている。最近、別の男性から求婚され、夫を待つべきか迷っている」(<[人生案内]夫は未帰還 再婚か、待つべきか/大浜英子>11月12日夕刊)。
終戦直後には、このような苦悩が日本各地であったのかもしれません。
★悩みも多様化
日本が高度経済成長を迎えた1955年(昭和30年)以降も時代の変化に合わせ、さまざまな悩みが寄せられました。
<テレビが買えず… 肩身狭く子どもがかわいそう>(1959年=昭和34年=12月31日)、
<ブラジルに移住したい 歯車の生活にイヤ気さし>(1972年=昭和47年=9月29日)、
<歌手が好きでたまらない>(1999年=平成11年=9月26日)、
<応援球団 負けると憂鬱>(2011年=平成23年=8月26日)、
<飼ってるカメ死んだら…心配>(2015年=平成27年=9月15日)
など、見出しだけ読んでも、本当に「人生いろいろ」です。それぞれの相談に対して、どんな回答がされたのか興味のある方は、ぜひ検索してみてください。(は)