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コラム「虫めがね」

「お札あれこれ」

 今月、20年ぶりに「お札の顔」が変わりました。千円札は細菌学者の北里柴三郎、5千円札は津田塾大学創設者の津田梅子です。1万円札の肖像は40年ぶりの変更で、福沢諭吉から実業家の渋沢栄一になりました。いずれも初登場です。

 今回は、お札の歴史や、ちょっと面白い話をヨミダスで調べてみました。ヨミダス通信7月号画像

★明治時代のお札

 <[ウッソーほんと]お札の顔も世につれて 日本武尊や源為朝 大黒様も>(1984年=昭和59年=125日夕刊)によると、人物が初めてお札に採用されたのは1873年(明治6年)発行の国立銀行券。源為朝(1円、上毛野田道との説も)、新田義貞(2円)のほか、人物以外では富士山(5円)などが描かれていたのですが、アメリカに依頼して製造してもらったため、「顔、姿はどこか異人めき、富士山にいたってはやたらにとんがって」いたそうです。

 日本で自前の紙幣を刷り始めたのは1885年(明治18年)。大国主命が描かれていたので「大黒様のお札」と親しまれましたが、インクの成分が原因で、温泉に持って行くと真っ黒に変色したり、紙の原料にコンニャクの粉が使われていたため虫に食べられたりしたそうです。

★庶民の人気投票

 1981年(昭和56年)、新1万円札の顔が福沢諭吉に決まったことを受けて、サッポロビールが銀座で6000人にアンケートをとっています(<[談話プラザ]庶民が選ぶ新1万円札の顔>=8月27日朝刊)。


 それによると、1位は聖徳太子、2位は野口英世、3位は福沢諭吉でした。以下は市川房枝、徳川家康、吉田茂、田中角栄、湯川秀樹と続き、10位以下にはなんと長嶋茂雄、沢田研二の名前もあったそうです。今ならどんな名前が挙がるのか、ちょっと気になるところです。

 

★科学者や女性も 

 2004年の紙幣刷新時には、お札に描かれる人物がどのように決められるのかや、どんな変遷をたどってきたのかを解説する記事が掲載されました(<[ワイド時典]お札 肖像が映す時代や文化>=1011日東京朝刊)。

 その中で財務省通貨企画調整室長は「政治家中心で来たが、一九八四年の新札発行時、国民への調査結果や国際的潮流などから文化人に切り替え(中略)、分野のバランスを取るとともに、女性の社会進出を受け、科学者と女性を選んだ」と説明しています。

 電子決済やカード決済が増え現金を使う場面は少なくなってきている現在ですが、150年余の歴史をかみしめつつ、ここぞという買い物では新しい3人に活躍してもらいたいと思っています。(は)

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