「図書館記念日」
今月30日は図書館記念日。1950年(昭和25年)のこの日、図書館法が公布されたことにちなみ、1971年(昭和46年)に日本図書館協会が定めたそうです。今回は読売新聞で図書館に関する話題を探してみました。
★明治の連載
1912年(明治45年)4月20日に始まった連載[図書館巡り]の1回目冒頭で、筆者の魯智深は「図書館は知識の宝庫である。(中略)書籍を師として自己修養の資と為し、もしくは伴侶として興味を求むるものに、図書館ほど利益を与えてくれるところはない」と高らかに宣言しています。
最初に訪れたのは帝国図書館(現在の国立国会図書館)。当時は東京・上野にありました。唯一の国立図書館で蔵書は60万冊、科学、実業、法律、医学などに関する書籍が充実しており、利用者は平均1日2000人以上、閲覧料は特別金5銭、普通金3銭とあります。閲覧室の写真も掲載されており、和服で坊主頭の若者たちや笠をかぶった僧侶らしき人が熱心に本と向き合っています。
[図書館巡り]では、このほか日比谷図書館(現日比谷図書文化館)、津島図書館(愛知県津島市立図書館)、南葵文庫、岐阜図書館、四谷図書館、深川図書館なども紹介されており、明治末から大正の初めにかけての興味深い資料となっています。
★戦前にもあった記念日
「図書館記念日」で検索すると意外にも戦前の記事も3本ヒットします。
1934年(昭和9年)<図書館記念日の講演>(3月28日朝刊)によると、1931年(昭和6年)4月2日に帝国図書館長松本喜一氏が御前進講(天皇に講義すること)の光栄に浴したことを記念して、日本図書館協会が制定したとあります。
また、1940年(昭和15年)4月2日の<家計も科学的に 婦人の読書傾向に現われた 2日は図書館記念日>では、帝国図書館での女性の読書傾向を調べています。
それによると、文学だけでなく「人間の生物学」「百万人の数学」などといった理学、数学、医学、歴史などの本もよく読まれ始めており、「家計をつかさどる婦人が数学というものを科学的に検討しようという痛烈な欲求にもえていることを物語って」いると分析されています。
★戦後の記念日
1972年(昭和47年)4月30日の戦後初の図書館記念日、読売新聞では<図書館も“変身”を 初の記念日にちなんで白書>の見出しで、日本図書館協会が発表した「図書館白書」を紹介。
中都市(人口10万~60万人、142市)のうち市立図書館のない市が30市あるなど公共図書館の数が不足していること、利用率もイギリスやアメリカに比べて低いことなどを指摘し、専門職員、子ども向けサービスの充実などを提案しています。
★興味深い連載いろいろ
「白書」以外でも、図書館に関連した連載や記事はたくさんヒットします。
[紙WAZA]ぶらり社史さんぽ 川崎の図書館 2万冊収集(2021年2月27日夕刊)、[月刊大学]1月号 大学図書館 住民ウェルカム(2022年1月22日大阪夕刊)、[ミュージアムへ行こう]明治大学 米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館(2022年8月22日夕刊)、[知の館 大学図書館を巡る](2023年7月27日から連載スタート)。見出しだけでも、ちょっと読んでみたくなります。
[スキャナー]図書館 中心街潤す 地方都市 再生拠点(2024年3月4日)では、「公立図書館を、空洞化した市街地の再生拠点として活用する動きが広がっている」として、学生らが飲み物を手に談笑しながら雑誌を読んだり、高齢者がソファ席でゆったりと語り合ったりできる宮崎県都城市立図書館などの取り組みを紹介しています。(は)
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