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虫めがね

「コロナ前の3密」

 megane_illust0023密。いまや、この言葉を聞かない日はありません。新型コロナウイルス感染防止のため避けるべき密閉・密集・密接の総称です。コロナ禍ですっかり悪者扱いされていますが、以前はどんなニュースに登場していたのでしょうか。ヨミダス歴史館で時代を遡り、コロナ前の三つの密を探してみます。コロナ対策さながらの手探り状態で、面白い記事が見つかるかどうか……。
 明治・大正・昭和を指定し、「密閉」で見出し検索します。一覧表示された見出しのうち、1927年4月1日朝刊「密閉された一室でお姫様達の行水」が目に飛び込んできました。想像力をかき立てられ、いったい何事かと思って読むと、女子学習院に豪華な体育館が完成したという記事。脱衣室はシャワー付きの個室で「鏡からお化粧道具万端そろっていて密閉された室内でお姫様たちが自由に全身の汗を流せる仕組み」。宮内省(現・宮内庁)の技師が「アメリカからあらゆる参考書を取り寄せて苦心設計した」そうです。
 「密集」で見出し検索して多いのは火災をめぐる記事。太平洋戦争が始まる前の1941年2月8日朝刊「帝都防空ここに隙あり 俄造りの会社密集に危い都心」は、先見の明を感じさせる問題提起です。
 「密接」で目立つのは経済や軍縮など国際協力をめぐる記事ですが、1958年5月24日朝刊「[こどもの気もち]内べんけい 密接すぎる親子間」はぐんと身近なテーマ。小学2年の娘の内弁慶な性格を心配する母親に対し、専門家が「親と子との間に張りめぐらされているクモの巣が、普通よりよほど密接すぎて、お友だちとの間に張ろうという気持がまだわかないでいるようです」と分析。まず、同じようにおとなしいタイプの子どもと友だちになるよう助言しています。親子関係も過剰な密は避け、適度な距離を心がけましょう。(む)

 

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