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虫めがね

「凡人のすすめ」

 megane_illust0629天才はいつの世も注目の的です。近年では例えば、記録を塗り替え続ける藤井聡太竜王(19)が、将棋のことを知らない人にとっても、天才や神童のイメージが強いでしょう。対局中の勝負飯やおやつまで評判に。天才からは目が離せません。ところで、世間の脚光を浴びる天才に対して、普通の人に過ぎない凡人は、そもそもニュースの種になるのでしょうか。ヨミダスで探ってみました。

 

24年前の夏、凡人が軍人、変人とともに一躍、流行語になりました。自民党総裁選の3候補を評した「凡人、軍人、変人」。凡人は小渕恵三氏(故人)、軍人は梶山静六氏(同)、変人は小泉純一郎氏を指し、各氏の人柄や経歴から田中真紀子衆院議員(当時)が命名しました。凡人や変人呼ばわりされたことに対し、3氏は、その心中はともかく、それぞれの呼び名を踏まえてアピールしました(1998年7月24日東京朝刊「自民総裁選立会演説会」)。

 「『平々凡々』と言われるが、私は決断すべきところでは、決断する男だ」(小渕氏)

 「途中で倒れるかも知れないが、私のしかばねを乗り越えて日本の将来を築いてほしい」(梶山氏)

 「私は『変人』と言われるが、変革する人だ」(小泉氏)

 投票結果は凡人の勝利でした。名付け親である田中氏は、「あのグループ(旧小渕派)は選挙になると非凡なものをもっておられるんですよ」とコメントしました(1998年7月25日東京朝刊[ドキュメント・ポスト橋本])。(む)

 

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