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コラム「虫めがね」

「巳年いろいろ」

 昨年はヨミダス通信をお読みいただき、ありがとうございました。今年も昔の記事の中から面白そうなものを掘り起こして紹介していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 新年の最初は今年の干支(えと)にちなみ、巳年に関するいろいろを120年前の正月紙面を中心にヨミダスで検索してみました。

ヨミダス通信2025年1月巳年

★戦時色

 今から120年前は1905年(明治38年)。日露戦争の真っただ中でした。

 元日朝刊紙面は1面こそ漢詩「歳旦恭賦」や和歌、野口米次郎の英詩「Shinnen Omedeto」、幸田露伴の「初笑い」などといった穏やかな正月らしい紙面ですが、ページをめくると2面には「松樹山砲台占領」「黄海海戦の詳報」「旅順残艦の現状」といった戦況を伝える見出しがずらりと並んでいます。

 

★巳年の話題

 翌2日も2面は日露戦争関連の見出しが大部分を占めていますが、その一方で3面には「巳年の玩具」と題する記事があり、おもちゃ博士と呼ばれた郷土玩具研究者の清水晴風が台湾製の竹細工の蛇や紙をたたんで作った蛇などを紹介しています。

 4面には<日本に於ける蛇>という動物学者・波江元吉の談話があり、「卵」「毒蛇」「蛇の鱗」などの項目ごとに解説しています。紙面には「響尾蛇」(ガラガラヘビ)、「海蛇」などの大きなイラストも掲載されていますので、興味のある方はご覧になってみてください。

 

★迷信や異変…

 大正時代には、「巳年と申年の結婚は悪運に出会うというが、事実でしょうか」と心配する女性からの質問が掲載されています(1922年=大正11年=313日朝刊[身の上相談]から)。これに対し、記者は「年回りの是非善悪が宿命的に存在するなどとは信ずることができません」と答えています。

 一方、1976年(昭和51年)にはこんな記事もみつかりました。

 <[よみうり瓦版]巳年の来年は大異変?>(1211日夕刊)によると、巳年は「大化の改新(乙巳の変)」(645年)、「壇ノ浦の戦い」(1185年)、「東京遷都」(1869年)、「太平洋戦争開戦」(1941年)などがあったそうです。記事にはありませんが、このほかにもロシア革命(1917年)、世界恐慌(1929年)、昭和天皇崩御(1989年)、アメリカ同時テロ(2001年)など歴史の節目になるような大きな出来事が起きています。

2025年が平穏な一年になるよう心から願わずにはいられません。(は)

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